2010年11月15日
ピアノのつぶやき
みなさんいかがお過ごしでしょうか。
少しの間、お休みをさせて頂いておりましたが、
本日よりまた連載をしていきたいと思います。
ではでは早速ご覧下さいませ。
ピアノのつぶやき
第7話
会員制のクラブでピアノの生演奏という仕事でやってきたB子は
初日であるその日に色々な出来事をまき起こしてしまう。
口うるさいサブマネージャーを怒鳴りつけたり、演奏中にK会社の
社長からチップを頂いたり、そしてその社長にケンカを売るような
発言をしてしまったり。
『いいんじゃないですか、それは社長さんの主観ですから』
K社長の
『ホステスのY子には100万あげてもB子には一銭もあげたくない』
という本気なのかジョークなのか、その言葉を聞いた直後に
B子が社長に向かって言ってしまったこの発言に、周りのホステスさん達も
かばいようがないというあきらめの表情で下を向いてしまい、
銀縁メガネのサブマネージャーはカーテンの裏に隠れてしまった。
そんな周りの様子も全く無視状態でB子は社長をにらみつけていた。
誰もが社長は怒りだすと思っていたその時に
『ハッハッハッ・・・君はなかなか気が強くて頭のいい子だネ』
と、予想もしない言葉が社長の口から飛び出した。
Y子さんはホッとした表情でB子を見ていた。
他のホステスさんも止まってしまった空気をやさしくほぐすかのような
仕草で社長が口にくわえたタバコに火をつけている。
カーテン裏に隠れていたサブマネージャーは先ほどからずっと
その場所に居たくらいの顔つきで自分のポジションにいつの間にか立っていた。
B子はというとこの訳が分からない社長の言葉にただキョトンとしているのだった。
そしてもっと驚くべきことが起きたのだ。
いきなり社長がB子の右腕をにぎるといきなり中央にあるダンスフロアーへと
B子を連れて行ったのである。
そしていきなり流れている静かな曲に合わせチークダンスをB子と踊り始めたのだ。
B子は先ほどから続いている訳のわからないという世界に入ったまま
おぼつかない足取りでチークダンスを踊っているというか、
まるでマリオネットのように踊らされていた。
そして、K社長は
『君は本当におもしろい子だね。からかい甲斐があるよ。普通のお嬢さんだったら
僕のあの発言にただ愛想笑いをして、そして涙目になるな。』
と、おだやかな紳士的な声で言ったのである。
B子はといえば、初対面の社長に女性の価値を金で比較され、しかもその対照が
Y子さんであったことに恥ずかしさから目には涙がたまっていたのだ。
でもそれが流れる前にダンスフロアーに引っ張っていかれたことで
こぼれそうだった涙が鼻の中へ入っていったのだ。
そして、
『社長!からかうのはかまいませんがY子さんを引きあいに出すのはやめて下さい。
Y子さんに失礼です。』
とキッパリ言ったのであった。
会話こそ聞こえてないが、その社長とB子のダンスの様子を微笑ましく見ている
Y子さんの瞳はまるでB子の姉のような優しさと温かさを感じさせるほどであった。
次回の『ピアノのつぶやき』もお楽しみに!!
- by ドルチェ
- at 16:09
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